松田聖子 「ガラスの入江」 (松本隆-大瀧詠一,SONY ’81)

今年、大滝詠一の『A LONG VACATION』( niagara 81 )のリマスター盤が発売され、話題となっています。
聴くたびに味が出るスルメ盤で、なかなか飽きのこない名作ですが、『ロンバケ』のサブ盤として必聴なのが同じ81年リリースの松田聖子『風立ちぬ』。

当時、超トップアイドルだった松田聖子のアルバムなのでメチャクチャ売れたはずです。
アナログのA面5曲が大瀧の作曲・編曲。ナイアガラサウンドが堪能できます。
加えて全10曲とも松本隆作詞。B面のほとんどのアレンジとギターは鈴木茂。「はっぴぃえんど」の3/4が職人スキルを発揮して作り上げた80年代アイドルポップスの代表作です。

「ガラスの入江」は2曲目。『ロンバケ』でいうと「スピーチバルーン」。大瀧の柔らかい男性ヴォーカルも湿度たっぷりの魅力ですが、まだ十代の聖子の丁寧で固いヴォーカルが、固いながらもしっとりとはまっています。
このあと、ユーミンの曲で媚びた甘え声を絶妙に駆使し始めるわけですが、この頃はまだ蕾。技巧を使わなくても十分魅力のある声質。
音程・声量とも優等生です。