小泉今日子 「プロセス」(小泉今日子/藤井尚之)91Victor

80年代後半から90年代前半にかけて、「コイズミ」といえば純一郎ではなくキョンキョンでした。

テレビ・CMアイドルとしてトップに君臨しながらも、当時の東京クラブシーンとの交流で、「芸能界」とは一線を画した「アーチスト」ぶりも主張。18枚目のアルバム?Afropia」もその線の人脈とつくってます。

元じゃがたら・元ミュートビート(東京ソイソース!)藤原ヒロシ等のサウンドプロダクションは、馴れ馴れしくないクール。今聞くとちょっと細くてチープ。リズムの解釈の鋭さは、英米にない、日本が誇れる水準です。やっぱYMOチルドレンか?

ただし、本作の肝は本人の、高い地点でバランスのとれた存在感です。優しく柔らかいけど、優しすぎない、ある意味控えめで冷たいヴォーカル。自身のキャラクターと声質を知り尽くした、決して「等身大」ではない歌詞。
ヒップな最先端さに決して溺れず、むしろそれを消化して「別の」わかりやすく高水準なポップに仕上げ、アイドルとしてのネームヴァリューをもって冷たく柔らかく、鎮座し、キッチリ?商品」に仕上げている。

聴き手との距離感をキチンと取った、大物の仕事です。