Carpenters 「This Masquerade」 (Russell) 73A&M

日本でも良質ポップの定番となっているカーペンターズ。
有名曲がたくさんありますが、今回のチョイスは、レオンラッセル作「This Masquerade」。

カレン・カーペンターは滑舌が凄くいい。英語のリスニングが苦手な私でも、耳にスムーズに言葉が入り込んできます。はっきりした発音が非常に心地良い。
但し、カーペンターズは英語のリスニングテープではありません。確実な発語・歌唱、折り目正しく端正な音楽性ですが、英語や音楽の「教材」に収まるような、野暮ったく、面白みの無い「真面目」デュオでは決して無い。

「This Masquerade」はアルバム『Now And Then』2曲目。
1曲目の「Sing」から一転、しっとりとラウンジっぽいピアノが転がります。間奏、ピアノソロからフルートソロにバトンタッチ後、兄妹のコーラスが分厚く拡がるあたり、リチャードの天才アレンジが、炸裂しています。

もっと恐ろしい天才がカレンのヴォーカル。明朗で端正でありながら、
湿度をたっぷり含んだ低音ヴォイスは、悪魔性と狂気と闇をたっぷりと孕んでいます。見かけが「真面目」なだけにその狂気は一層恐ろしい。