ROXY MUSIC 「More Than This」(Ferry) 82EG

違和感そのもの、といった存在感とサウンドでスタートしたロキシーミュージック。
10年の歳月を経て、いつのまにか獲得してしまった、微妙な「滑らかさ」が、ラストアルバム『Avalon』の1曲目からスムースに流れます。

黒人のリズム隊を起用した、高度なリズムアレンジですが、決してファンキーに爆発しない。全てが寸止めで終始する、「ラウド」じゃない、ロックの完成形。若さと勢いではじけることもなく、ルーツミュージックをリスペクトすることもない。クールなまま、全く高揚しません。

この、フワフワたゆたう幽玄サウンドにべったり乗っかってるのが、英国ナルシス、ブライアンフェリーの縒れたヴォーカルです。反抗とか激情が
全くない、ヌメヌメとカッコつけた声。ロックシンガーというより、アランドロンやマストロヤンニのような、ヨーロッパの映画スターといった佇まいです。