David Bowie 「Soul Love」(Bowie) 72RCA

72年の「The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars」 2曲目。
「ジギースターダスト」とは、両性具有の宇宙人ロックンローラー。その「ジギー」をボウイが演じて、歌う。いかにもインチキくさい感じですが、その「インチキ」を確信犯的にロック的な高度な虚構に作り上げています。

当時のボウイのファッションも、高度な虚構性の一端を担っています。オレンジ色の短髪、剃り落とした眉毛、無意味にきらびやかな衣装。60年代の腑抜けて左翼的な「ラブ&ピース」の理想主義的な「自然回帰」への否定でしょう。
前回のクラプトンやウィンウッドのように、誠実に音楽性を追求するのではなく、しょせんロックはハッタリだよ、というスタンスを確立しています。

『Soul Love』はちょっと能天気なハンドクラップで始まるミディアム。ラテン風味なリズムとサックスが下世話さを醸します。但しこの曲、ひいてはアルバムの肝はアコースティックギターです。全編を通してザクザクとイイ感じで鳴ってます。

サビ近くで登場する太くてダサめなエレキギターとの対比が絶妙。
インチキを通すには、誠実な人以上に、音楽の実力が必要とされることを実証しています。