オフコース 「時に愛は」 (小田和正) 80Express

80年代の全盛期には、軟弱の代名詞のように扱われ、聴いていることをカミングアウトするのが恥ずかしかったオフコース。

確かに「あなた」と「僕」との「愛」についての一見甘ったるい歌詞を「小田さん」が中性的ハイトーンの声で歌う世界が繰り広げられています。かくいう私も当時なかなかカミングアウトできませんでした。

ところが、本当はそうじゃない。かなりハイレベルで、しかもわかりやすい作曲能力と、意外とハイセンスなサウンド。特に80年前後の5人組の「バンド期」は超ドライで骨太でストイックな「音」を出しています。

「時に愛は」はその「バンド期」の最高潮のアルバム『We are』1曲目。とにかく音数が少なくスカスカ。手数の少ないスネアの音がやたらでかい。歌の合間にもろ「ホテルカリフォルニア」なギターソロ合戦が始まる。
70年代後半のアメリカンロックを大胆に消化しています。

そこでもう一度先入観を捨てて、小田和正の声をもう一度良く聴くと、甘さのなかにも屹立した硬質さと、言い訳なくリーダーシップをとる男らしさが垣間見えます。