泉谷しげる 「地球がとっても青いから」(泉谷しげる) 72ELEC

実は以前は泉谷しげるはあまり好きではありませんでした。

昔テレビのバラエティー番組に良く出演していたのを見かけていましたが、「TV的にわかりやすい偽悪的なオヤジ」キャラクターがバラエティーにはピッタリでした。
ディレクターの期待どおりの範囲の「暴言」をジャストなタイミングで吐く。一般視聴者が安心して消費する「過激」。お約束じゃん。ユーモラスで憎めないコメディアン。実は気が弱そう。

さて、本業の音楽は如何に。2ndアルバム『春夏秋冬』の1曲目「地球がとっても青いから」。和風ほんわかグラムロック。T-REXを明るく抜けさせたようなアレンジは加藤和彦。ドラムがつのだ☆ひろ、ギター&ベースは高中正義。泉谷しげる&サディステックミカバンドというべき布陣です。

ユーモラスな情緒を醸す歌声で、社会の矛盾と自分の無力を歌う。露悪的に虚勢は張るが、弱さもそう隠してはいない。そう、基本線はTVのバラエティーと同じです。
但し、フォーマットが全く違う。TVは泉谷氏をバラエティーの悪役キャラというお決まりの「コマ」として使っていましたが、加藤氏は、まだ線の細い若き泉谷しげるの魅力を巧みに引き出している。信頼できるミュージシャンたちと、自らの新しい音楽的志向を駆使しながら、のびのびと泉谷氏の才能とキャラクターを開発し、はばたかせている。

実にスキルの高いマネジメントと言えます。

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