The Velvet Underground 「Sister Ray」 (Lou Reed) 67Verve

ベルベットアンダーグラウンドの2ndアルバム『White Light/White Heat』は恐ろしい程の傑作です。

はっきり言って巧くはない演奏が、かなりワイルドに不協和音を大いに孕みながらガチャガチャとやかましく鳴り続けます。

ソングライティングの洗練とか、歌がうまいとか、ダンサブルだとかの要素は一切なく、ただノイジーな音が暴力的に流される。こんな演奏してるの、ロクな奴じゃない。
しかしこのサウンドが素晴らしい。特に「Sister Ray」には陶酔させられる程です。

ギターはひどい音質で攻撃的なプレイを繰り返します。だんだんと演奏の呈をなさなくなってきたぞ、と思ったらいつのまにか曲のテンポが全く変わり、耳をつんざくオルガンが無意味にやかましくなり続ける、といった調子の怒涛の17分。しかし単なるヤケクソではありません。これこそ人間が誰しも内側に持っている「混沌」を揺さぶる音楽なのです。

ルーリードとジョンケイルは、誰もが日常生活では何とか押さえ込んでいる「混沌」というものが何なのか、を正確に理解し、適確に、またある意味で「洗練」して表現しているのです。
やっぱり「恐ろしい」傑作です。

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