Fripp And Eno 『The Heavenly Music Corporation』(Fripp/Eno) 73EG
キングクリムゾンのロバートフリップとロキシーミュージックのブライアンイーノ。英国ロック第二世代を代表する、難しい音楽を作る人たちです。
デヴィッドボウイのアルバム『Heroes』でこの二人が演奏しているのですが、陰鬱にキレまくっていたこの時期のボウイの要請に見事に答えて、素晴らしいアバンギャルドを聴かせてくれます。
その二人が初めて共演したアルバムが『No Pussyfooting』でした。
私は20年ほど前に初めて聴いたとき、すっかりうんざりしてしまいました。
単調な電子音と超アドリブなギターが延々20分も続き、ヴォーカルもなく、メロディーもなく、サビもない。なんだこの自己満足の垂れ流しは!
しかし、20年たって、理解してしまいました。
仕事に疲れた週末の深夜、部屋を真っ暗にして、この音の粒と流れに身をゆだねる。
五感をリラックスさせた後に、逸脱度を強めるフリップの暴力的なギターの凄まじさ。
二人の難解な天才が作った傑作を理解するには、相当な年月が必要だったのです。