東京・錦糸町にある「すみだトリフォニーホール」。1997年に出来たようですが、全く知りませんでした。昭和時代のホールは、通路が狭く窮屈な所も多いですが、ここは、全体にゆったりとした作りで、落ち着いて音楽を楽しめる会場でした。

落ち着いた会場には、やはり圧倒的にシニアが多い。50歳の私が最年少でしょうか。

しかし、70歳のトッドラングレンは、ちっとも落ち着いてなどいなく、アメリカンロックのおおらかさを体現したようなバンドを従え、ロックンロールの楽しい猥雑さを全面に振りまいていました。

そんなトッドの真骨頂は、やはり繊細なバラード。70年代前半の至極のメロディーは、2019年のライブでもその魔力を失っていませんでした。

『Be Nice To Me』のピアノのイントロが流れた瞬間の「あー」という観客の溜息。名曲は、40数年のときを経て、更に輝きを増すように瀟洒なホールを満たします。

思うに彼も若き頃、あまりにも繊細な感性を持つ青年だったのでしょう。フィラデルフィアの風土は、ロンドンや東京の空気が産んだ、ポールマッカートニーや小田和正のウェットな美メロとはかなり違った、乾いたメロディーを天才に齎した。

楽器の演奏よりもメロディーがホールを支配する、稀有なライブ。ちょと珍しいですね。