第110回 不要不急の旅

はじめに

日本中が落ち着かなくて、出口の見えないトンネルにいるような気分です。
もしかすると、今我々は歴史の転回点にいるのかもしれません。。。
といった難しい話は得意じゃないので、炎上覚悟でいつものように誰の得にもならない報告をさせていただきます。

1.北見へ

4月の初め(※1)、北見方面へ流氷明け毛ガニを食べに行ってきました。
※1 北海道独自の緊急事態宣言が明け、7都府県に緊急事態宣言が発出される前の絶妙な時期でした。

北見は海に面しているわけではありませんが、オホーツク海のすぐ近くなので海産物は新鮮なものが容易に手に入ります。
また農業や畜産も盛んです。

というわけで、北見に到着した日の夕食はちょっぴり贅沢をしました。
ちょっとだけ高級そうな焼肉屋さんで地元産牛肉のいろいろな部位を食したあと、そのまま廻らないお鮨屋さんに直行するという暴挙(快挙?)に出たのです。

そのお鮨屋さんで、同行仲間のひとりが「甘エビ」を注文。
でも、お鮨屋のご主人は「ボタンエビ」がお薦めで、さらに「ブドウエビ」の時期なら「ブドウエビ」が一番だけどねとも言っていたけれど、我々はブドウには否定的なのでした(※2)。

※2 ブドウに否定的なのは、ブドウの房から「クラスター」(感染者集団)を連想するから。

2.常呂町で蟹を調達

翌日は朝からレンタカーでオホーツク海に近い常呂町の鮮魚店に流氷明け毛ガニを買いに行った。
歴史を感じさせるその鮮魚店には生魚はもちろんのこと、新鮮(?)な干物や珍味類も驚くような値段(もちろん「安い!」)で売っている。

毛ガニは、と見ると1パイ3,980円で、5ハイほど並んでいた。
我々は10パイほど欲しいのだが、店頭にはない。
店のおばちゃんに「もっとないの?」と訊いてみると「今、市場に仕入れに行ってるよ」とのこと。
「えっ、いつ戻ってくるの?」
おばちゃん「もうそろそろだけど、毛ガニはあまり漁に出てないみたいだから、どれだけあるかね・・・」
「えっ、ないかもしれないの?」
「じゃあ、聞いてみっかね」とおばちゃんがおもむろに携帯電話をかけはじめる。
「きょうは毛ガニどんだけあんの?・・・うん、うん」
我々もいっしょに「うん、うん」
「16パイ入ったのね?」と電話で話すおばちゃん。
「10パイ買った!」と盗み聞きの我々。
まさに青田買い。値段も聞かずに超高速取引成立であった。

3.ほたてとカーリング

目的の毛ガニをゲットした我々は突然ヒマになった。
夜の流氷明け毛ガニ宴会まで、なんの予定も決めていなかったのだ。
誰かが言った「ロコ・ソラーレって常呂町が本拠地だよな?カーリングしようぜ!」

ロコ・ソラーレは平昌オリンピックで銅メダルを取った女子カーリングチーム名だ。
カーリングができるかどうかはわからないが、練習場がすぐ近くということで、Googleマップに導かれるまま駐車場まで到着。
大きな建物の入り口には「開館中」の札が出ている。

でも中に入ろうとドアを押しても開かない。
あれ?開館中のはずなのに。。
と入り口の横を見ると貼り紙が。。
「関係者以外、入場をお断りしています」
(それって「閉館」だよね?)

落胆したら、急に空腹感が襲ってきた。
どこかで正午のサイレンが鳴っている。
どおりでお腹が空くはずだ、我々も「もぐもぐタイム」だ!

常呂町名物のホタテづくし定食を食す。

4.そして宴会へ

流氷明け毛ガニ宴会の会場であるコテージに向かう途中、スーパーマーケットでお買い物。
宴会になくてはならないお酒の調達です。

ビールと日本酒と焼酎とウイスキー。
銘柄は適当に、量も適当に。
サイドメニューに焼肉用の肉(?)、カニ鍋用の野菜や具材、スナック菓子におつまみ各種。
たぶん、これだけあれば問題ないであろうと思われる量(買い物カゴ4つ分)を買い込んだ。
いや、ちょっと買いすぎかも。
レジ袋に移すのが大変だ。
冷えたビールはレジ袋じゃだめだろうってことで、急遽ビニール製クーラーバッグも購入。
早速ビール類をクーラーバッグに移していると、コロナビールが出てきた。
買った人物は「風評被害で売れていないみたいなので、支援の意味で買ってみた」とのこと。

宴会場に向かう途中、温泉があったので、当然のように寄っていく。
古来より宴会と温泉は一体と決まってるから。
そして、広々とした湯船につかりながら、夜の毛ガニに思いを馳せていた。

おわりに

北見から帰ってきた翌朝のこと。
新聞のローカル面を開くと、「オホーツクの毛ガニかご漁スタート 旬の味、出足好調」という見出しが!
毛ガニ宴会の翌朝に毛ガニ漁が始まったということは、我々が食べた毛ガニは厳密には密漁なのか?秘密にしなきゃいけないのか?
厳密、密漁、秘密。密が三つ揃った・・・。
などとふざけたことを言っている場合ではない。
また、こんな「不要不急な旅」に行けるように、とにかく今はホームステイ(※3)だ。

※3 ホームステイは留学だ。正しくはステイホームですね。