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改正薬事法対策に、BIG顧客管理ProとBIG販売管理Proをカスタマイズ

社会問題となった血液製剤による薬剤エイズ訴訟やBSEなど、医療における問題が発端となり、生産と流通履歴を紐づけ、対象となる薬品や医療機器などの安全管理の徹底を目的として平成17年4月から施行された「改正薬事法」。

これに伴い、医療用具販売業、賃貸業およびメーカーなどを対象とし、医療用具や医薬品などの販売に際してさまざまな規制が施されました。

改正薬事法の主なポイントは以下の3点です。

製造販売承認制度の導入
従来、医療機器などの販売に関しては製造業者(メーカー)が承認を受けていたところを、「製造販売業者」も承認をとるよう変更されました。医療機器をはじめ、すべての医薬品・医薬部外品・化粧品も流通後の品質保証や安全対策をしなくてはならず、製造業の許可を持っている人達が行っている「製造」と流通後の「安全対策」を切り離し、製造業の他に、流通後の品質保証や安全対策をするよう製造販売業の許可が新設されました。

医療機器のリスクに応じた分類
医療機器を3つのクラスに分類。(クラス分類はⅠ~Ⅳ)救急絆創膏やガーゼなど、副作用・機能障害を生じた場合でも、人の生命・健康に影響を与えるおそれがほとんどないクラスⅠから、クラスⅢ(高度管理医療機器:透析器、人口骨、バルーンカテーテルなど)及びクラスⅣ(高度管理医療機器:ペースメーカー、人口心臓弁など)まで分類され、クラスⅢ・Ⅳの高度管理医療機器の販売は許可制となり、販売トレース記録・保管が義務化されました。

市販後の安全対策の充実
高度管理医療機器などの販売業者は、譲受または、販売業者、病院などに販売・授与・賃貸したときは、その記録を書面またはデータで保存することが義務付けられました。また、苦情処理などの記録を3年間保持するという項目も追加されます。

対象機器などに不具合が生じた場合、どの病院に販売したか、またはレンタルしたかなどを即座に把握する必要があるということです。

業界に先駆けてシステムを導入

山形県に本社を構える三栄カルディオ様は、東北地区をメインの商圏とし、ペースメーカーなどをメーカーから仕入れ、病院や代理店への販売を手がける販売業者様です。

三栄カルディオ様では、人の生命に直接かかわるペースメーカーなどの高度管理医療機器を販売するにあたり、薬事法が改正されるずっと以前から、どこの病院に、いつ何を販売およびレンタルしたかを用紙からスキャンしたものを保管されていました。

このような法改正にもすばやく対応できるよう、 常に業界の動向に注意を払われていた塩谷社長は施行前から準備を始め、医療関係のシステムメーカーを中心に専用システムのご検討を開始されました。

しかし、一から構築すると莫大な費用と期間がかかること、また、やりたいことがはっきりしていていたことなどがあり、すでに導入されていたBIG顧客管理Proを活用出来ないものか・・・と担当営業にご相談いただき、販売情報と医療機器の詳細管理を同時に実現するBIG販売管理ProとBIG顧客管理Proの連携カスタマイズというかたちで2005年1月に新たにシステムを構築していただきました。

BIG顧客管理ProとBIG販売管理Proをシームレスに連携するカスタマイズ

BIG顧客管理Proでは、通常、”人”の管理をすることが多いのですが、三栄カルディオ様では、医療機器を製造番号ごとに管理されています。

今回導入頂いたカスタマイズシステムでは、クラス分類がⅢまたはⅣの高度管理医療機器であるペースメーカーなどの医療機器の仕入れが発生した際、商品名から自動でクラス分類を認識。クラス分類がⅢまたはⅣの高度管理医療機器だった場合は、製品番号・製造年月日、有効期間を入力し、同時に自動で顧客管理DBを生成します。

この時点ではまだどこの病院に販売したという情報は当然はいっていませんが、売上げが発生した際に、売上げ伝票の内容から、いつ、どこの病院に販売したという情報がシームレスに追加登録されるようになっています。

最終消費者にあたる患者さんの情報については、個人情報の取り扱いとなるため三栄カルディオ様では管理せず、全てメーカー側で管理しています。

患者さんや病院側から寄せられる問い合わせ、クレームなどに関しては、内容や日時などを記録し、メーカーに取り次いでいます。この内容は、上記の”市販後の安全対策の充実”に対応しているわけです。

機器に不具合が生じた場合、改正薬事法にのっとり、メーカーからの指示があればすぐに情報を引き出せるようにしています。

ペースメーカーなどの特定のものに関しては、製造番号により個別に管理された顧客台帳から、また、同条件下で製造された複数個にわたるロット管理のものに関しては顧客台帳ではなく販売管理の伝票明細より即座に検索できるようになっています。

病院への納品書には、納入した機器の商品名、製造番号、厚生省の承認番号、クラス分類などを印字。施行間もなくのシステム導入ということもあり、病院側からも評判のようです。

今後の展望

「時代の変化により、顧客のニーズも変化します。一度システムを導入した顧客をとりまく業界の流れや、変わりゆく時代をいち早くキャッチし、私たち顧客のニーズを汲んだ最新のシステムを提案してほしい」と塩谷社長。

三栄カルディオ様にとって顧客にあたる販売先である病院の、また先に居る患者さんまでをしっかりと見据え真摯に取り組まれている姿を見て、我々システムメーカーとしてもさまざまな業界の動向に常にアンテナを張り続ける必要性を感じました。