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コンビニエンスストアのコールセンターでCTIを活用

全国に約1000店舗を展開するコンビニエンスストア、A社様では、当時コンビニエンスストアではめずらしかったカードシステムを2000年にいち早く導入されました。

カードシステム導入の背景には、それまですべてのお客様に、セールや季節のご案内などの情報を同等に提供していましたが、「これからは個人個人にあったサービスの提供が必要」という考えがあり、顧客の囲い込みも狙ってこのシステムを導入されました。お客様にカード会員になっていただき、カードを利用してくださるお客様には、お買い物金額に応じてポイントを加算するというもので、スーパーマーケットやデパートよりも1回の買い物金額が少なくなるコンビニエンスストアにおいて、スーパーマーケットなどより高い率で貯まるポイントが魅力です。貯まったポイントは、景品と交換できるしくみとなっています。

会員数は、全国に約250万人。商品に関するお問い合わせなどを受け付けるお客様相談センターとは別に、会員様から寄せられるカードシステムに関するお問い合わせなどについて、フリーダイヤルで受けるコールセンターを、カードシステム導入時の2000年に本社内に開設されました。

システム導入のきっかけ

コールセンターの開設時に、すぐにシステムは導入されませんでした。最初は、電話を受けてお問い合せに答えた後、「いつ」「誰から」「どのようなお問い合わせがあり」「誰が」「どのように答えたか」を全てオペレータが記録用紙に記入して残していました。これら記録用紙を内容別に分類したうえで、時系列にファイルに綴じて保存していました。

会員数の増加とカードシステムの普及に伴い、カード会員であるお客様からのお問い合わせが多くなってきました。お客様からは、カードに登録されているお客様の情報や貯めて頂いたポイントに関するお問い合せが多く寄せられました。これらのお問い合わせに答えるために、複数のデータや過去のお問い合わせ記録などで必要な情報を確認していました。

ただ、過去のお問い合わせ記録に関しては、紙ベースで残していたため、何枚にもなる記録用紙から、該当する1枚の記録を探すのに大変な時間がかかりました。また、これらの記録が「紙」で残されていたため、「同内容の案件に関する記録を探す」「同一のお客様からの、過去のお問い合わせ記録を探す」「オペレータ全員で情報を共有する」「未決案件の進捗状況を確認する」などということが出来ず、情報として活用できる幅が限られつつありました。また、お問い合わせ対応に必要なデータも分散しており、効率が悪くなっていたのです。

オペレータは、コールセンター開設当初から在籍しているオペレータを含む7名です。メンバーの入れ替えはほとんどないため、全員がオペレーションには慣れています。

しかし、一定件数以上の電話対応が発生し続ける中、現状を改善し、コールセンターのサービスレベル向上とオペレータの業務コスト削減を図りたいと考え、基幹システムなどを構築するグループ会社にシステム構築の相談をされました。

基幹システムとしては、 グループ会社が構築した会員管理システムを使われていましたが、コールセンターで使用するシステムには、管理項目のメンテナンスが必要だったことと、 CTIに対応するためのコストと時間がかかってしまうという理由で、市販のパッケージシステムを利用するという選択をされました。そして、コールセンター用に新たに電話交換機を追加し、同時にBIG顧客管理Pro CTIをご導入いただきました。

カスタマイズで独自の運用方法を確立

250万人のカード会員が居ても、実際にお問い合わせをしてくるのは何割かのお客様に限られます。

基幹の会員管理システムで管理されていた250万人の会員データを、そのままコールセンターの運用データベースに取り込んで使用すると、システムに負荷がかかってしまいます。BIG顧客管理Proでは、250万件の会員データベースとコールセンターの運用データベースの2つを持ち、連動するカスタマイズをしています。お問い合わせをしてきたお客様のみを運用データベースにて管理するため、システム負荷を軽減し、スピーディーな対応を可能としました。また、基幹の会員管理システムの会員データとは毎日1回同期をとり、常に最新の情報を保っています。

現在、コールセンターで運用するデータベースには、会員データ250万件のうち、約12,000件のデータが登録されました。

管理画面では、お客様情報や景品交換履歴、お問い合わせ履歴などを管理されています。毎回のお問い合わせ内容を1顧客台帳に全て残すには、文字数などの制限があるため、履歴項目の任意の位置にカーソルが移動するとエクセルの対応シートが自動で起動するカスタマイズもしています。

オペレータは起動したエクセルファイルに対応内容の詳細をその場で入力し、1履歴に対し1枚の対応シートファイルがリンクされるようになっています。全てのお問い合わせは、オペレータだけで完結せず、管理者が承認しないと“未対応”として履歴に残ることになります。管理者は、未チェックのものを検索し、内容を見たうえで承認のチェックをして1つの案件が終了します。これにより、オペレータの対応内容やお客様の要望・ご質問内容などを常に把握できているようです。

通話録音機能

通話はすべて自動的に録音されます。これは、特にクレーム対応に対する備えとなっています。お客様のもっとも身近にあるカードに記載されたフリーダイヤルに、ポイントカード以外に関するクレームを寄せられるケースも少なくなく、クレームを受け付ける窓口としても、十分対応できるような体制となっています。

個人情報の取り扱い

システム導入当初は、お客様から頂いたお問い合わせの電話に対応したあとに、お客様のポイント履歴から、「ポイントが貯まっているようですので、プレゼントとの交換はいかがですか?」といったセールストークができれば・・・とお考えでした。

しかし、2005年4月の個人情報保護法の施行により、プライバシー保護にかなり敏感になっているお客様も多く、「あなたの情報は簡単に調べられます」ということを、あまり前面に押し出すことがないよう、注意が必要だと考えられました。そのため、現時点では、情報はしっかり蓄積しても、あくまでお客様への対応をスムーズにするために役立てる、ということを優先されています。

今後の展望

例えば、受注センターであればお客様からの電話には“商品の注文”というはっきりした目的があるので、1回の通話でほぼ完結しますが、こちらのコールセンターでは様々なケースの問合せがあり、1回、1人のオペレータでは解決できないことがしばしばあります。 BIG顧客管理Pro CTIの導入によって、複数人のオペレータで対応しても、今までの経緯を把握でき、お客様への対応はかなりスムーズになったとご担当者様は語ります。

今後の展望として、将来的にIVR(音声ガイダンス)を使ってポイント情報の確認をしたりできるサービスなども視野に入れられているようですが、まずは現在稼動しているシステムの利点を最大限に生かし、お客様へのサービス向上を第一に考えてゆきたい、とのことでした。