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産業廃棄物処理業務をパッケージソフトでトータル管理

環境省の調査によると、平成16年度における全国の一般廃棄物の排出量は、5,059万トン。この莫大なごみは、東京ドーム約136杯分に相当するそうです。それでも、平成12年度以降継続的に減少傾向にあります。ごみの排出量が減少する一方で、資源ごみのリサイクル化も着実に進み、総資源化量、リサイクル率ともに、年々増加しています。

また、平成16年度における全国の産業廃棄物の総排出量は、4億1,700トン。前年度に比べて、600万トンの増加という結果。しかしながらこちらも、総排出量のうち最終処分されたものは全体の約3%、有害な廃棄物などを取り除く中間処理と呼ばれる工程では、排出された産業廃棄物全体の約51%が再利用されているそうです。

最近では10年前に比べて「ごみ問題」がクローズアップされ、企業でも一般家庭でもごみを減らす、リサイクル出来るごみは分別する、といったことが身近になっているのではないでしょうか。

見える部分のリサイクルには積極的に取り組んだとしても、最終的なごみのリサイクルには、プロによる適切な処理が重要な役割を担っています。

山形県の白鷹町という四方を緑で囲まれた場所にあるテルス様は、廃棄物処理事業を核とし、廃棄物のリサイクル事業、公共下水道施設などのメンテナンス事業、近隣にある工場から出る物質の環境測定事業など環境に関する様々なビジネスを展開されています。

設立は昭和41年。地域の環境に深く密着し、出来ることは全て積極的に携わってきた結果、4名だった従業員は50名まで拡大し、現在のような産業廃棄物処理の総合商社へと成長されました。

特に力を入れられているのは、リサイクル事業。県内最大の生産能力を誇る再生資源燃料製造施設を構え、 廃プラスチックを選別し、マテリアルリサイクル可能なものは再生プラスチックの原料として樹脂メーカーへ供給。マテリアルリサイクル出来ないものは固形燃料として再利用されます。まさに、地元から出たものは全て地元に還元するという、循環型社会づくりを実践されています。

また、有機汚泥をコンポスト(堆肥)にリサイクルして販売されています。こちらのコンポストは販売だけではなく、地元の小中学校や白鷹町内の花壇などへ無償で提供。地域や行政とのつながりも大切にされています。

一個人としても気になるのが、家庭ごみの行方です。同社のホームページでは、企業や自宅から出たごみがどのような施設でどのように姿を変えるかをわかりやすく知ることができ、私たちのエコ意識に強く訴えかけてきます。

システム導入のポイント

それまでオーダーシステムをオフコンからPCへと入れ替え、10年ほど使われていた同社ですが、時代の流れとともに様々な事業を展開されてきた同社では、当然部門ごとに必要とする資料や欲しいデータは随時進化してゆきます。

「それまでのシステムでは、せっかく入力したデータがうまく活用されていない、新しい事業を始めるごとにシステム変更を強いられるというのがネックになっていました。」と代表取締役社長の黒澤様。

そして、部門ごとにデータをフレキシブルに活用できるシステムへの入れ替えを検討。総務部の黒澤主任をはじめ、黒澤社長も交えて数社のシステムから選定することになりました。

パッケージソフト、オーダーシステムの両方で検討した結果、BIG顧客管理Pro、BIG販売管理Pro、BIG財務会計をご導入いただきましたが、導入のポイントは、「システムを使うのは社員。あれがしたい、これがしたいというそれぞれの現場サイドの意見を尊重し、今後の汎用性を重視し、パッケージソフトに自社独自のカスタマイズが出来るシステムを選定しました。」と、黒澤社長は語ります。

部門ごとの使用方法

テルス様は、山形県の白鷹町にある本社の他に、日之出事業所、山形市内の山形事業所があります。本社では主に、経理、業務部門を中心とし、営業やそれぞれの事業部を持ち、事業全体の運営を担われています。

本社の各事業部門では、BIG顧客管理Proをそれぞれの部署で使いやすい台帳を作成し、ご活用いただいています。

メンテナンス部門では、公共下水道施設や農業集落排水施設などのメンテナンスを請け負っていますが、管理・保守に関わる項目を管理できる台帳を作成されました。環境分析事業の部門では、委託先の企業へ報告する計量証明書や分析報告書を印字するための台帳を作成し、ご活用いただいています。

「BIG顧客管理Proの利点は、それぞれの部門で違った台帳を気軽に作成できることです。一度作り方を教われば、項目の変更や追加が容易に出来るので、最近では、担当者レベルで自由に台帳を作成しているようで、気付いたら新しい台帳が増えているといったこともあります。」と、総務部の黒澤主任は語ります。

また、他部門のご担当者様レベルでも、欲しいデータは個人ごとに異なるため、BIGでは実現できない帳票などは欲しいデータだけを抽出し、エクセルなどで個人的に加工して利用したりと、応用性が広がった様子です。

BIG販売管理Proは、主に業務部門でご利用いただいています。得意先への請求処理や売上計上といった一般的な販売管理とは別に、産業廃棄物処理業特有の帳票類はカスタマイズで対応されています。

例えば、「産業廃棄物実績報告書」。廃棄物処理法によって導入されたマニフェスト制度(産業廃棄物管理制度)では、委託事業者名や廃棄物の量、収集運搬業者名などを記載し、最終的にどこで処分されたかを各都道府県へ報告する義務があります。

こちらの報告書を印刷するために、日々入力される売上単位であるm3(リューベ)を報告書作成時にはt(トン)に変更したり、県知事名や運搬業者名といった独特の項目を印字するカスタマイズをしています。

また、全国で段階的に実施され、山形県でも平成18年10月より施行された「産業廃棄物税」の計算も、BIG販売管理Proで計算しています。

経理部門で使用しているBIG財務会計Proでも、一部カスタマイズをしています。

販売管理の入金伝票入力時に、銀行マスタを入力すると、BIG財務会計Proの仕訳伝票が自動で起票され、入力作業を軽減化されています。

この部分は、オーダーシステムで実現されていたものをそのままカスタマイズしましたが、全ての機能を継承した訳ではないため、不十分なところも多少はあるようです。しかし、データの更新処理が不要で、リアルタイムで更新・訂正ができるようになり、全体的な時間短縮につながった、とご担当者様は語ります。

経営サイドに立つ黒澤社長からは、財務の細かい資料まで出せるようになったことや、日之出事業所、山形事業所の日々の売上伝票はそれぞれの事業所で入力したものを統合しているため、事業所をはじめ、会社全体の収益が即座にわかることをご評価いただいています。

提案型の営業を目指す

代表取締役社長 黒澤様

オーダーシステムからパッケージソフトへと入れ替えをして、約1年。現場サイドの意見として、「現在蓄えられたデータを最大限に活用して、各担当がより早く情報を取り出し、報告できるしくみづくりに取り組んでいる。」と黒澤主任は語ります。

また、これからの課題として、社内の効率化とともに、データを活用した“提案型営業”に力を入れたい、とお考えのようです。

「お客様の過去の取引履歴をしっかり管理することで、お客様それぞれの廃棄処理のサイクルを見る、廃棄された内容によって、事業の変化を見る、といったことが出来るわけです。

そういったデータから、例えば3ヶ月先のごみの排出状況を予測したアプローチをしたり、リサイクルの提案やコスト削減方法の提案なども可能となります。今後は、受身ではなくこのような提案型営業に力を入れて行きたい。」と黒澤社長は語ります。

総務部 主任 黒澤様

社会全体がごみ問題に注目し、ごみの削減、リサイクルを意識している中、産業廃棄物処理というビジネスのみならず、テルス様は常に新しい事業への挑戦をし続けなければなりません。次の事業展開として、新しい試みである農業へのチャレンジを挙げられています。

一見、産業廃棄物処理業にはまったく関係ないように思われますが、実はリサイクルによってえられた堆肥という資源を更に有効活用できるビジネスでもあります。

これまでも、“環境”という共通のキーワードのもとに、点である様々なビジネスを面に広げてきたテルス様。今後も、これまでと同様に環境問題に正面から向き合い、循環型社会構築のリーダーとしてご活躍されていくことでしょう。