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100円ショップ業界の物流改革の一環にBIG販売管理Proを活用

質がよく、安く何でも手に入る100円ショップは、現在の私たちの生活に確かな文化として根付いています。
そんな100円ショップに、バラエティに富んだ商品を納入している株式会社 グリーンオーナメント様のお得意先は、大手100円ショップから北海道・沖縄の離島にあるショップまで全国にわたります。

販売価格が全て100円という商品特性上、ショップ側は最終消費者の手に渡るまでのコストをいかに削減するか、そして、グリーンオーナメント様のようなメーカー側はショップにいかに多くのアイテムを多ロットで卸すかがポイントとなります。
そのためには、「お得意先との信頼関係が非常に重要」と、代表取締役 森本様は語ります。

得意先の要件に合わせたシステムの再構築

100円ショップ業界が全盛を迎えていた頃、そんな大切なお得意先のひとつである業界大手のある企業が、業務効率化を目的としたEOSによる発注システムを構築することになりました。
それまで行われていた商品の発注は、インターネットによる電子発注システム(EOS)に切り替える、その条件に賛同してくれる企業と今後の取引を継続したい、との通達を受けたのです。

森本社長は、大きな決断を迫られることになります。
それまでご利用頂いていたBIG販売管理Proは、いわゆる一般的な卸売り向けのシステムですが、お得意先の要件を満たすレベルではなかったのです。
競合他社にとっても条件は同じでした。そして、自社システムへの投資が必要となるこの提案を、何社もの競合他社が断念していきました。

しかし、森本社長は違いました。「システム投資には費用がかかります。しかし、数社の競合が断念したという事実を聞き、数年先を見越して今こそお得意先とのパイプをより強固にするチャンスだと思い、システムの再構築(BIG販売管理Proのカスタマイズ)を決断しました。」と当時を振り返ります。

発注~納品までのリードタイムを短縮

そして、2001年頃、BIG販売管理Proで得意先指定のEOSデータで一括受注するカスタマイズを行いました。

多品種の商品を扱う同社では、システムを提案してきたお得意先以外も合わせると、一日に平均600店舗、600アイテムほど、行数でいうと36,000行ほどの注文を受けられます。
FAXや手作業も並行する同社ですが、EOSによる受注はミスもなく「現在では手作業など考えられないほど楽になった」と、森本社長は語ります。

お得意先の効率化も図られたのでしょう。 一度目の決断から間もなく、次のステップとして、今度はショップ側の検品作業軽減のための商品検品システムの提案をされました。

100円ショップでは実に多くのアイテムを取り揃えており、納品後、仕入した商品が正しく納品されているか、納品物の検品作業に多くの人手をかけられているそうです。
この検品作業を省略したい、それがお得意先から出された第二の課題でした。

お得意先の提案するシステムは、多品種の発注、納品、検品処理のミスをなくし、発注から納品までのリードタイムの短縮が目的であり、確かに納得のいくものでした。 今度も同社はこれに賛同、更にBIG販売管理Proに検品システム対応のカスタマイズを行いました。

梱包、配送は、EOSによる受注データを一括で処理した事務所とVPNで繋がれた倉庫で行われます。

ピッキングリスト(出荷指示書)に印字されたバーコードを読み取り、棚番管理された棚から指定の商品を取りひとまとめにします。
そして、最後にもう一度商品を一点ずつバーコードスキャンにかけて出荷明細の消しこみ作業を行い、間違いなく商品をピッキングしているかをチェックします。受注から出荷までの作業をシステム化した結果、ミスは格段に減ったそうです。

このように、ピッキングミスがないということは、お得意先側での検品作業は実質必要がなくなり、先方の要件は十分に満たされたことになります。

また、人的作業をなるべく削減した結果、その日の受注はその日に出荷、というルーティンも確立され、残業時間も減ったそうです。

「ミスの起きないシステム構築しているわけですから、ミスが起こるはずがありません。もし発生したとしても、どの段階のミスなのかがすぐにわかるようになっています。」自信に満ちた森本社長の表情は、とても説得力のあるものでした。

そして、このEOSによる受発注作業の正確さと、ミスのない配送は多くのお得意先から信頼されることとなり、森本社長の決断による先行投資は、数年で回収される結果となったのです。

お得意先の効率化も図られたのでしょう。 一度目の決断から間もなく、次のステップとして、今度はショップ側の検品作業軽減のための商品検品システムの提案をされました。

物流改革への一歩

いかに量産、人件費削減を実現しても、最終消費者に100円という安価で商品を提供するには物流コストの削減も大きな課題となります。

この物流コスト削減について、流通に携わる一経営者として、森本社長なりに“物流改革”を常に考えているようです。

新規取引の依頼が舞い込んできた場合、森本社長は相手側の要望どおりに取引を開始することはせず、パートナーとして今後つきあっていく相手かどうか見極めているようです。
たとえば、同社の取り扱う約600アイテムのうち、5%である30品目での取引を依頼されたとしても、森本社長は首を縦には振りません。全アイテム取引を前提条件としてご提案するそうです。

「当社からはA商品を、他社からB商品を仕入れたら、物流コストが2倍かかりますよね。それでは相手側にとっても損じゃないですか。」

同じ100円ショップという業界で同様に抱えている物流コストの問題。
同社にとって、たとえお客様にあたる立場でも仲間としてとらえ、双方にとってメリットとなる提案を常にされています。
他にも、代理店経由の発注の場合、代理店に納入するとその先に無駄な物流コストがかかるため、納品は最終納品先であるショップに直送しています。ここでも、物流コストと環境への配慮を欠かしません。

100円ショップ業界と同社の今後

「ここ20年ほどで“ブーム”から“定着”へと進化してきた100円ショップですが、次々と新規出店して過剰供給の気配があり、業界に陰りが見えた時期があります。しかし、景気の煽りを受け、昨今では食品以外の日用品に関しては安価の商品を好む傾向になりつつあり、再度この業界に期待を持たれているように感じています。」と、森本社長は100円ショップ業界の傾向を分析されています。

これまでも、他社の動向やお得意先の提案に素直に耳を傾け、会社にとってプラスになると思われることを積極的に吸収しながら成長し続けてきた同社。「今はこのBIG販売管理Proのカスタマイズシステムがベターであっても、ベストではないかもしれない。新しいサービスは日々生まれているんです。」と、森本社長は語ります。

回転寿司屋に入っても、従業員の購入した軽自動車に乗っても、新しいシステムやサービスを見つけては刺激を受けるという森本社長。経営者の好奇心は、必ず従業員にも伝わります。森本社長率いるグリーンオーナメント様からは、今後も多方面にアンテナを張り巡らせ、柔軟に変化しながら成長し続けるという可能性を感じ受けました。