検討からわずか半年で中規模コールセンター構築を実現
子ども用の運動靴から、上履きやスポーツシューズ、大人用革靴、高齢者用の歩きやすさを考慮したシューズまで幅広い商品展開の”アサヒシューズ”。
その、アサヒシューズブランドのメーカーである株式会社 アサヒコーポレーション様の設立は1892年と、長い歴史を誇ります。
足袋の専門メーカーとして誕生した、同社の前身である”志まや”は、のちに底にゴムのついた労働用の足袋、 履物史上の革命ともいわれる貼付式地下足袋を開発。
そして、地下足袋に使われたゴムの事業を拡大し、タイヤ部門が設立されました。そのタイヤ部門が独立して起業したのが現在のブリヂストンだということは、あまり知られていない事実ではないでしょうか。
その後、アサヒコーポレーション様は、靴の製造と販売に特化し、時代にあった商品を次々と誕生させました。
”健康”、”快適”、”環境”をテーマに商品開発を続ける同社の、現在の主力商品はメディカル用シューズです。
高齢者は小さな段差でもつまずきやすい、ただ歩くにも足や膝に負担がかかる・・・といった問題を医学的に解消するため、アサヒコーポレーション様、九州大学、医療機関の「産・学・医」連携による共同開発で誕生した”メディカルウォーク”は、高齢者から高い支持を得て、同社の売れ筋商品となっています。
新たな販売ルートの開拓
特約店、専門店にて一般流通している同社の商品ですが、足の悪いお年寄りや、近所でアサヒシューズを購入できないお客様のご要望に合わせる形で、いわゆる通信販売でのお客様への直接販売が始まりました。
「ここ2、3年で、インターネットによるプロモーションの場も増え、現在では自社サイトおよび大手モールによるECにも参入しました。それまでも、商品取扱店や商品についてのお問い合わせなどが多数寄せられていましたが、ECへの参入により、これまでより一層、一般消費者であるお客様と直にやりとりをする機会が増えたのです。そして、お客様からのご相談やお問い合わせ窓口である、コールセンターの設立を検討しました。」とコールセンターの管理者である大木様は当時を振り返ります。
コールセンター構築の検討期間は約4ヶ月
コールセンターシステムの導入は、同社 情報システム部が主導となって検討が始まりました。
コールセンター設立前の様子を、情報システム部 菊川様は次のように語ります。
「コールセンター専用のシステムはなかったものの、それまでも自社で構築した顧客情報データベースでお客様の情報管理はしていました。しかし、せっかくお客様から寄せられるご意見やご要望といった大切なデータが、情報共有できていなかったのです。そこで、みんなが共有できるデータベースを構築し、問い合わせや苦情、ご要望といった情報をより有効に活用するために、顧客管理パッケージの導入を検討しました。」
システム選定時には、数社のプロダクトを吟味し、コンペで決定されることが多いようです。
コンペを進めるにあたり、システム構築の目的をまとめた提案依頼書をシステムベンダー数社に提出。そして、数社が名乗りを挙げました。
システム提案依頼
システム構築の目的は、大きく以下の3点でした。
1.お客様や、小売店への対応を向上させる
2.顧客情報の活用や分析などの業務が迅速に行える体制を整える
3.消費者及び小売店への直販を拡大する
他にも、データ件数やオペレータ人数等、かなり具体的な要望が書面化されていました。
選定のジャッジを下される情報システム部では、コンペは基準を作って公平な判断ができるよう、選定ポイントを列挙した根拠付けの比較表を用いています。各社より提案を受けた後、内部的に必要機能や価格、稼動実績、企業情報などを盛り込んだ比較表でそれぞれをポイント化。数社のシステムを比較して、トータルポイントが高いシステムを選択されるそうです。
コールセンターに必要な項目としてピックアップされたのは、“オペレータの席数”、“通話録音”、“ログ管理”、“対応区分別集計”など、23項目。
BIG顧客管理Proを含め、顧客管理システムを持つメーカー6社のプロダクトを比較、検討され、最終的にBIG顧客管理Proが残りました。
そして、当社の導入ユーザー様である大手メーカーのコールセンターを視察されたそうです。実際の利用イメージを自分の目で確かめ、システム構築によって得られたメリットを担当者様から直にヒアリングされた上で、BIG顧客管理Proが採用されました。
採用後は、新システムの具体的な運用方法等について幾度もミーティングを重ねながらの準備が始まりました。
「当社の要望はすでにお知らせしてあったので、システム導入はスムースに進みました。しかし、アクセスで管理していた今までのデータ形式が新システムと異なっていたため、変換作業に時間を要しました。最終的には無事にコンバートも出来て、いよいよ本稼動となりました。」と菊川様。
そして、検討期間を含めて約半年後の2007年11月にコールセンターが始動したのです。
コールセンター
コールセンターでは、主にお客様からの近隣販売店や商品についてのお問い合わせや、インターネット環境のないお客様からのご注文をインバウンドで受けられています。
席数はマックスで13台。
新聞広告を出した翌日は13台がフル稼働するそうです。
それぞれのオペレータのデスクには、ダブルディスプレイが置かれ、一方で顧客情報を、もう一方で商品在庫状況や店舗情報といった社内情報を同時に閲覧できるよう工夫されています。
お問い合わせ時にお客様の所在地に近い店舗を検索したり、商品在庫をすぐに確認でき、応対時間の削減につながっているようです。
オペレータの方々も、お問い合わせ業務についてはだいぶ慣れてきたようです。 最近ではインバウンドだけでなく、アウトバウンドも始められました。
アウトバウンドでは、問い合わせがあったお客様への折り返し電話をはじめ、商品をご購入頂いたお客様への使用感のお尋ねコールや新商品のご提案などをされているそうです。
業務終了後、管理者である大木様が集計作業を行います。集計は、お問い合わせ区分別(商品問い合わせ、店舗問い合わせ、ご注文など)や、地域別集計など、詳細な集計資料を6~7種類作成されています。
BIG顧客管理Proでの集計には限界があるため、データをエクスポートして自社独自のフォームで集計されることが多いようです。操作感に不満はないものの、この、データ集計方法についてもう少し汎用性が欲しいとのご要望を頂いています。
集計結果は、問い合わせ内容によって関連部署へ定期的に報告されます。お客様の声は、製造部門や営業部門に報告し、ご注文の場合には流通センターへ商品の出荷を依頼します。
更なるコールセンター業務効率化への取り組み
導入後、半年が経過した現在、大きなトラブルも無く順調に稼動されているようです。これもひとえに、導入前の十分な検討が功を奏した結果だといえるでしょう。
「導入当初はオペレータも操作に不慣れで、別棟にあるコールセンターに頻繁に足を運んでいました。今は、あまり様子を伺いに行くことがなくなりましたね。」と情報システム部の菊川様。
BIG顧客管理Proによるコールセンター運用は順調に稼動していますが、今後は更なる業務効率化について具体的な検討が始まりました。
現在残されている手作業による業務をいかに自動化するか。この課題解決のため、コールセンターに寄せられる注文情報と、社内基幹システム(受注、配送、請求業務)との連携が、次のステップとして具体的に進行しています。
今後は、「コールセンターの業務効率化はもとより、お客様からの情報を更に充実させ、お客様とコールセンターとの接点をより密なものとし、アサヒシューズブランドのファン作りとお客様の声を生かした商品作りを目指したい。」(コールセンター 大木様)と、展望を語っていただきました。