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現場の声を反映したコールセンターの構築と運営

“学研”の通称で親しまれる旧学習研究社は、出版事業や様々な分野の教育事業を統括し、2009年10月1日に株式会社学研ホールディングスとして生まれ変わりました。

ホールディング化に伴う様々な組織の改変がなされ、旧学研の総務全般業務を担っていた総務部から独立し、株式会社 学研ファシリティサービス様が誕生しました。

総務という企業に欠かせない存在である株式会社 学研ファシリティサービス様は、分社化され独立した様々なグループ各社との関わりも強く、一大ホールディングカンパニーにおいて重要なポストと言えるでしょう。

お客様センター室

総務全般業務、不動産管理などをメインの事業とする学研ファシリティサービス様ですが、全グループ宛にかかってくる電話の一次受付を行うコールセンター、“お客様センター室”の運営も担われています。

“お客様センター室”には、グループ各社への電話交換の他、学研グループ取り扱いの全ての雑誌、書籍に関するお問合せ、在庫確認などの様々な電話が寄せられ、その数は年間4万3千件にものぼります。

コールセンターシステムの入れ替え

お客様センター 堀口様

“お客様センター室”は、旧学研の頃から継続運営されており、コールセンター開設当時はオーダーメイドのシステムを導入されたそうです。

しかし、旧システムではコールセンターに不可欠な機能が不足しており、機能追加するにはシステム改変の度にコストがかかるという課題が持ち上がりました。

旧システムから新システムへの入れ替え時から“お客様センター室”のメンバーで、現場でお客様と接してきた堀口様はこう振り返ります。

「旧システムは、CTIに必要なナンバーディスプレイに対応しておらず、CTIとしての機能を果たしていませんでした。また、お客様の応対履歴も管理できなかったので、システムの入れ替えずっとお願いしていたんです。」

システム選定

こうして、新システムの選定が始まりました。新コールセンターシステムの選定ポイントは、現場スタッフの要望とコスト面を両方クリアできる、“コールセンター業務をカバーする機能があるパッケージソフトであること”になりました。

システムの選定は、当時の情報システム部と“お客様センター室”の現場スタッフの共同で進められ、候補のひとつにBIGコールセンターが挙がりました。

そして、複数候補のシステムの提案・デモンストレーションを受け、最終的にBIGコールセンターが採用されました。

BIGコールセンターの採用ポイントについて、すでに“お客様センター室”に導入されていた電話交換機に対応しており、CTI対応の開発コストがかからないことや、学研ファシリティサービス様の挙げた要望にマッチしたからではないかと担当営業は振り返ります。

導入効果

「システムを入れ替え、実際に使ってみた率直な感想ですが、以前のアクセスベースのシステムでは細かな修正が可能でしたので、やりたいことは何でも出来る、という印象でした。一方、パッケージソフトであるBIGコールセンターでは、出来ないことも当然あるわけで、最初はとまどいもありました。」と堀口様。

しかし、旧システムで課題となっていた対応履歴管理については、「それまで管理できていなかったお客様とのやりとりが全て時系列で管理されており、同じお客様からどのような問合せがあったのか、過去に何度問合せをいただいているのかがわかるのはとても便利です。」と、ご評価いただいています。
他にも、これまでのハンドセット(受話器有)の電話からヘッドセットタイプに入れ替えたことで、キーボード入力に両手を使えるようになり、応対内容の記入作業が効率化したとのことです。

対応クローズ率は約4割

BIGコールセンターのFAQ機能については、次のように語ります。

「BIGコールセンター導入当初は、FAQ機能を使っていたんです。
しかし、当センターでは全ての雑誌、書籍のお問合せを受け付けるので、週刊誌、月刊誌などのバックナンバーも含めると商品点数は莫大な数になります。

当然FAQも莫大なものになるのですが、その中から通話中に答えを見つけ出す余裕がない、というのが実情です。例えば1文字入れれば関連したFAQや応対履歴がすぐにリストアップされるような、フレキシブルさがあればもっと使えるのではないでしょうか。

いかにして早く目的の回答を探し出せるか、これが現在の課題です。」

最近よくあるお問合せはメーリングリストでメンバーと情報共有してお客様センターで回答、過去の書籍等ですぐに即答出来ないお問合せについては、社内基幹データベースを参考に回答したり、雑誌の編集部に対応依頼をされているそうです。

“お客様センター室”での対応クローズ率は約4割。
商品点数の多さから見ると高い数字と言えますが、その背景には、自社商品を知り尽くした社員が対応していることが大きいのかもしれません。

集計作業を1アクションで

1ヶ月に1度、書籍別・お問合せ内容別のクロス集計をする同社。これまでのシステムでは一旦エクセルにエクスポートしてから集計を実施していました。

BIGコールセンターではその手間を省き、1アクションで集計出来るようになり、こちらも導入効果として挙げられています。

通話録音

コールセンターに欠かすことの出来ない通話録音は、タカコム社の通話録音システムを利用。管理者は定期的に聞き返し、メンバー全員で共有することにより、お客様サービスの向上に役立てられています。

お客様センターの今後

お客様センター室 室長 荒木様

お客様センターの今後について、「つい最近ホールディングしたばかりで、センターへの問合せも商品に対するものではなく、社名が変わったことによりどこに電話をしていいのかわからない、といったイレギュラーなものが多いのが現状です。

グループ会社からも、新たに代表電話受付の依頼が来たりして混乱していますので、メンバーの補充といった全体的な今後の方針については、落ち着いてからじっくり検討する必要があると思います。」と、お客様センター 室長 荒木様は語ります。

一方、実際に電話応対をされている堀口様は、メールによる問合せと電話応対の統合や基幹システムとの連携、IVR(音声自動応答装置)による問合せの振り分け、声のトーンからお客様の感情を読み取り、図表化できる音声認識システムの導入など、現場で有効と思われるシステムや機能の研究に余念がなく、要望もかなり具体的です。

現場の声が所属長に届き、全体像をしっかり検討した上で会社が動く。そんな理想が成立したお客様センターを運営されている同社。導入時もそうだったように、これら現場の要望が実現する日は遠くないかも知れません。