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“お客様との関係づくり”のために通販システムの応対履歴を活用

大阪市にある株式会社 エー・アイ・シー様では、“オーヴォ”というブランドの化粧品ラインナップを開発、販売されています。

親会社である旭油脂化学工業株式会社様では、研究から開発、試作まで一貫した自社開発生産システムを基盤とし、主に工業用の洗浄剤や油剤の製造・販売を手掛けられています。

平成元年、旭油脂化学工業様の事業の中から、医療理化学器具用洗浄剤を製造販売する別会社として独立し、エー・アイ・シー様が創設されました。

化粧品開発のきっかけ

エー・アイ・シー様の事業ドメインの中心は医療用洗剤で、主に大手医療機器メーカに卸されてます。他にも、食料品メーカー向けに手洗い用洗剤(医薬部外品)を販売されており、これまで卸売を中心に成長されてきました。

法律上、化粧品という扱いとなる手洗い用洗剤を開発される際、化粧品、医薬部外品の認可を取られた同社。

「これまで、洗浄用の商品の開発をメインとしてきましたが、手を洗うということは手荒れが起こる、ということで、はじめてハンドクリームの開発をすることになったのです。」と代表取締役の矢野様は振り返ります。

そして、約15年前にオーヴォシリーズの第一号である“オーヴォナチュラルモイスチュアクリーム”を開発、当初は病院などの医療機関での販売をスタートされました。

オーヴォシリーズの主成分は“卵の殻”。カルシウムやビタミンなどを多く含む卵の殻から独自のバイオ技術で抽出した「卵殻エキス」は特許を取得されました。

ハンドクリームの開発後、その効果の高さから化粧水や美容液などの開発要望の声がお客様から挙がり、ひとつひとつ丁寧に開発を重ねて現在のトータルスキンケアラインナップを取り揃えるまでに至ったそうです。

通販業への参入

オーヴォシリーズは、発売当初医療機関で販売されておりましたが、次の販売ルートとして選ばれたのは、意外なことにクリーニング店だったそうです。

「大阪では昔、クリーニング店が社交の場として使われていて、当時は化粧品なんかも販売されていたんです。オーヴォシリーズを是非置かせてほしいというクリーニング店さんがいらっしゃって、クリーニング店での販売を始めました。」(矢野社長)

しかし、時代が変わり、社交場として使われなくなりつつあるクリーニング店だけでは、販売の拡大は望めませんでした。

「何よりも、販売委託という形では実際のお客様に触れ合うきっかけがないわけです。当社としても、卸売メインの体質を少し変えて、もっとお客様に近づきたい、ということで、通販による販売を思いついたわけです。今でこそ化粧品の通販は当たり前の時代ですが、当時はまだ割とさきがけだったと思います。」と矢野社長は語ります。

活用しきれなかった通販システム

通販を始めるにあたり、すぐに知り合いから勧められた通販システムを導入したという同社。

当時、化粧品の販売形態として店販や訪販がメインだったこともあり、“通販”という販売形態を管理するためのノウハウがシステムに反映されていなかったそうです。

せっかく導入したシステムも、十分に活用できていなかった、と当時を振り返ります。

実務上、どのような問題点があったのか聞いてみました。
「大きな問題としては、顧客抽出が出来なかったことです。例えば、こういう条件のお客様にお知らせを出したい、というシチュエーションで、簡単に検索することが出来ず、その都度開発会社のエンジニアにデータを出してもらうといった感じだったんです。

ある年齢層のお客様を検索したり、該当商品のリピートのあったお客様といった条件でピンポイントで探すことが出来ないと、販売促進だけでなく商品企画にも弊害が出てしまいます。さらに、売上集計が出来ない、お客様からのお問い合わせに対応するための情報をすぐに出せない、などの不便を感じていました。」と業務部の尾崎様は語ります。

“お客様との関係”をシステムで管理

旧システムとの並行稼働を経て、平成22年6月よりBIG通販Proによる本稼働がスタート。本稼働から4カ月弱が経過した現在の感想を聞いてみました。

「まだ十分に新しいシステムを活用するまでには至っていませんが、今までのシステムでは出来ないことが多かったので、3名居るスタッフは皆、“便利になった”という感想がほとんどだと思います。」(業務部:尾崎様)

現在、特に力を入れられているのが、お客様とのやりとり、いわゆる顧客対応履歴の充実です。

BIG通販Proでは、売上履歴だけでなく、お客様からどのような問い合わせがあったのか、といった内容が履歴として残せます。

エー・アイ・シー様でもしっかりと対応履歴を管理されています。
受注、出荷といった作業に追われる時間帯を避け、業務終了後に、その日にあった苦情や返品処理などを報告し合い、重要な事項は対応履歴に残す、といった作業を実行されています。

これまでのシステムでは、お客様と過去にどのようなやりとりがあったのか管理はされていましたが、自ら見に行かないとその経緯を把握することが出来なかったそうです。
BIG通販Proでは、重要な情報は画面を開くと同時に表示されるお客様メモでまず確認し、細かい経緯は対応履歴を見る、という方法で3名のスタッフのいずれが対応してもスムーズに対応できるよう工夫されています。

現在はまだデータを蓄積している段階ですが、1、2年後には有効なデータが整い、販売促進などにより活用できるようになるのではないかと尾崎様は見込んでおられるようです。

BIG通販Proの導入効果

システム導入効果については、「昔からのお客様からの“いつもの”に対応するには、これまでのシステムではデータを探し出すまでに時間がかかりましたが、BIG通販Proでは受注入力の際に売上履歴からすぐにわかるようになりました。また、お客様から配送状況のお問い合わせがあった際、送り状番号と受注伝票が紐づけされているので、すぐにお問い合わせに対応出来るようになりました。」と、尾崎様。

対応履歴によるスタッフ同士の情報共有といった、お客様サービスの向上以外の日常業務の改善点として、決済代行サービスとの連携による入金作業や顧客検索などを挙げられています。

他には、困ったことやわからないことがあったときにすぐに対応してくれる、サポートセンターの存在についても、以前より便利になったとのことです。

今後の展望

最近、新商品である美容マスク”オーヴォエッセシャルマスク EX”を発売され、ますますオーヴォシリーズのラインナップが充実しました。

今後は、新商品も含めたオーヴォ化粧品をより多くのお客様にアピールするため、効果的なプロモーション展開を計画中とのこと。

ネットショッピングによる販売も順調に推移ししており、webサイトから購入するとお得な特典などもご用意されているそうです。

代表取締役 矢野様

「販売促進の戦略もさまざまですが、当社としては大手メーカーのやり方を真似するのではなく、オーヴォ化粧品独自の魅力を前面に出し、お客様との信頼関係を続けていきたいと考えています。」と矢野様。

システムの導入効果をお伺いした際に、業務改善よりもまず真っ先にお客様サービスの向上を挙げられた同社。いかにお客様を大切にされているかを伺い知ることが出来ました。

最近、どの業界でも“お客様との関係づくり”のためにシステムをうまく使いこなしている企業が成功しているという印象を受けます。

当社としても、そういった企業に選ばれるシステムを提供していきたいと考えています。