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安定した顧客サービスの提供を目指し、コールセンターシステムを再構築 ~ Salesforce CRMとBIG CTIコネクターの連携 ~

東京都新宿区にあるいきいき世代株式会社様は、50代からの生きかた、暮らしかたを応援する定期購読誌「いきいき」から生まれた共済会「いきいき世代の会」からはじまった少額短期保険業者です。

「少額短期保険業」は、昨今注目されるミニ保険とも呼ばれる新しい保険で、2006年の保険業法改正に伴い制定された業態です。

制定されて4 年を超え、全国で67 社の財務局登録(2011/02現在)を受け、様々な業態の参入やターゲットを絞った特徴ある商品構成など、保険業界において新しい分野を切り拓くパイオニアとしての役割も期待されています。

雑誌「いきいき」の読者の方が、人生の最後まで不安なく生きていくための支えとなるしくみをつくりたい、この思いをかたちにしたのが、2002年10 月にスタートした医療共済『いきいき世代』です。

「 “安心できる医療保障を読者自身の手で”を具体化する仕組みとして、読者自身が会員となって参加する制度である”共済制度”を構築し”安心の仕組み”を実施するために、「いきいき世代の会」を設立しました」と、営業推進部 販売促進グループ課長 巴様は語ります。

そうして発足された共済制度、「いきいき世代の会」からスタートし、少額短期保険業者として認定されて発売されたのが医療保険「新いきいき世代」です。

雑誌「いきいき」に毎月掲載される“加入者の声”や充実した付帯サービス、これまで「いきいき」を通して構築されてきた信頼関係などが後押しして、共済制度含めた約7年間で約3万人の加入者を募るに至ったそうです。

顧客サービス向上のための活動

これまでの保険の提供形態の主流だった対面式から、通販型にシフトしつつある時流にあわせ、“通販形”での保険募集を行ってきた同社では、少額短期保険業者としての業務を開始するにあたり、“通販形”での保険販売の生命線となる「コールセンター」をシステムベンダーと協力して構築されました。

CRMシステムにはSalesforce CRMを採用、コールセンターシステムはソフトフォンのCTIシステムを導入されました。電話機には、コスト面での優位性という観点からソフトフォンを選択された同社ですが、実際に稼動が始まるとさまざまな問題点が発覚したのです。

販売ルートの90%以上を占める電話での業務で、ソフトフォンによる音声の途切れ、ノイズの発生、相手の声や自分の声がエコーのように響いてしまうといった問題は、一日中お客様と電話をするオペレータのストレスとなり、何よりもお客様側に同じストレスを感じさせてしまうということが一番重大な問題点でした。

ITマネジメント室 室長 南様

「コストパフォーマンスが良いと思っていたのですが、実はそうでもなかったのです」とITマネジメント室 室長の南様は当時を振り返ります。

導入してまもなく問題が発覚したため、システムベンダーと協力して原因解明に努めるも、多様なソフトウェアが混在するパソコン上に搭載していたこともあり、根本解決に向けての問題点の把握と解決が困難であることが明らかとなったのです。

また、当時は電話系統が「コールセンターのソフトフォン」ならびに「代表電話などのハードフォン」と2系統となっており、少ない人員で呼量に応じた柔軟な対応ができない、通話録音の2元管理といった別の課題も見えてきたのです。

コールセンターシステムの再構築

ソフトフォンの問題を抱えながら運営を続けられてきた同社ですが、2009年10月に予定されていた「新商品」の発売に伴ってお問い合わせなどの呼量の増加が想定されるため、お客様との接点として特に重要な意味をもつ「電話」について、通信システムの抜本的な再構築を行うことになりました。

そして、新商品が発売される2009年10月をカットオーバー期限とし、2009年6月より通信システム再構築のプロジェクトがスタートしました。

ソフトフォンから固定電話へと切り替えたことにより、CTIシステムも新たに導入することとなり、Salesforce CRMと連携するBIG CTIコネクターをご採用頂きました。

営業推進部 販売促進グループ 課長 巴様

システム採用の経緯として、選定に携われた南様、巴様は次のように語ります。

「今回のシステム再構築についても、ソフトフォンによるコールセンターシステム導入時と同様に、今の当社にはどのようなものがベストなのか、徹底的に比較検討しました。

前回は、コールセンターシステムとしての機能を重視し、電話機そのものの性能まで熟慮していませんでした。

従って、今回は逆の発想で、電話機ありきでコールセンターシステムが付随している、ということを採用のポイントとしました。

電話機を使い勝手のシンプルなPanasonicのビジネスフォンに決定した時点で、交換機とSalesforceの両方に連携するBIG CTIコネクターを採用するに至りました。また、リードタイムの短い中、レスポンスも早く精力的に動いてくれたというのも大きかったと思います」(巴様)

「1年半使用して、ようやく慣れてきたコールセンターシステムの操作性を大幅に変えてしまうと現場は混乱します。通話録音機能やCTI機能を同じような操作性で使えることや、コスト面でも最安値だったということもポイントとなりました」(南様)

Salesforce CRMとのCTI連携

コールセンターでは、CRMシステムとして採用されているSalesforce CRMに連携させるミドルウェアとして、BIGCTIコネクターをご利用頂いています。

Salesforce CRMでは、お客様の個人情報や保険契約の内容といったいきいき世代様で必要な項目にカスタマイズ。

電話着信時にBIG CTIコネクター経由で該当のお客様の情報をポップアップ表示します。電話着信時にお客様が特定できることで、これまでのコンタクト履歴やお客様との対応履歴、お客様の契約の状況などをすばやく把握できます。

 

コールセンターでは着信だけでなく、Salesforce CRMにcalltoタグを埋め込むことにより、ブラウザからクリックすることで発信もできるようカスタマイズされています。インバウンド(着信)の呼量に応じて、資料請求を頂いたお客様へのフォローアップのためのアウトバウンド(発信)業務を多くするなど、その日の呼量にあわせて柔軟に対応されているようです。

今回導入されたPanasonicの交換機Digaportには通話録音機能が搭載されており、お客様との会話が自動録音される仕様になっています。BIG CTIコネクターでは、通話ログに録音ファイルを紐付けて保管するため、お客様電話番号や日付などで検索して通話録音ファイルを聞きなおすことが可能です。

システム導入効果

システムの入れ替えにより、一番の問題点であったソフトフォンの問題は解決されました。
ソフトフォン利用時の問題点は以下の通りです。

・音声途切れ(お客様の声・オペレータの声)が発生する。
・エコー(オペレータの声)が発生する。
・外線着信のみ機能しないときがある。
・通話不可になったりすることがある。
・原因特定が困難である。
・挙動が不安定である。
・ソフトフォンの性能とハードフォンの性能差に大きな壁があると考えられる。

あわせて、下記の副次的な効果も挙げられています。

・1台に限定されていたモニタリングが同時に複数実施することが可能になった。
・リアルタイムでのパフォーマンス把握ができるようになった。
・通話録音が一元化されたことで、容易に確認可能になった。
・電話系統を一本化したことで、呼量に応じてオペレータ以外に社員も容易に呼対応可能になった。

今回の通信システム再構築では、特にハードウェア(電話機)の入れ替えによって本来の目的だったお客様へのサービスレベルの向上をクリアすることができ、システムも安定稼動を続けられているようです。

今後の展望

2009/12には、新商品として、加入者の方々の声が多かった少額の死亡保障の死亡保険「あんしん世代」の発売を開始し、お客様のさらなるニーズに応えたサービスを提供されているいきいき世代様。

今後の展望として、次のように語ります。

「当社は、これまで以上にお客様から多く寄せられる声を真摯に受け止め、お客様に信頼される存在となるため、お客様のニーズにお応えし、経営・サービスの改善に努めてまいる所存です。
そして、少しでも人生の支えに寄与することを目指し、加入者が支え合いを実感いただけるよう、お一人お一人のお客様とのコミュニケーションを大切に、“あたたかい”サービスを今後も続けていきたいと考えています」

新しく構築されたコールセンターシステムで、安定した顧客サービスの提供をサポートできればと願っています。