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宅配便集荷受付の業務フローとパッケージソフトの機能ギャップをカスタマイズでカバー

日本屈指の観光地である沖縄県から、観光客が自宅へお土産を届ける、空港からホテルに荷物を届ける、そんなさまざまな“輸送”に関するニーズにこたえるのが日通エアカーゴサービス株式会社(以下OAS航空)様です。

日本通運グループのOAS航空様では、「迅速・安全・確実」をモットーに、離島を含む沖縄県内の宅配サービスと航空貨物輸送事業を展開されています。

コールセンターシステムの入れ替え

OAS航空様では、沖縄本島や離島、那覇空港など10数箇所にある営業所に個別に寄せられていたお問い合わせを集中化させたコールセンターを構築されています。

コールセンターに寄せられるお問い合わせの内容は、お得意先である企業からの集荷依頼や配達状況の照会、ドライバーからの荷姿の照会など多岐に渡ります。

コールセンター設立当初、大手国内メーカー製の電話交換機を導入し、CTIシステムは他社の配送会社向けに設計されたシステムをOAS航空様向けにカスタマイズして使用されていました。

しかし、老朽化したハードウェアの入れ替えに伴い、システムの入れ替えも検討。全国でもめずらしい、宅配事業と航空貨物取扱輸送事業を同時に行う同社では、どちらの業務も両面から支えられる独自のシステムの構築に焦点を絞ります。

営業企画部 業務課長 比嘉様

「システム入れ替えの前提として、当社としては導入コストを下げるためにこれまでのようにオーダーメイドのものではなく、パッケージ主体で、という意向がありました。

システムの選定は、ハードウェアやシステムの構築をお願いしているパイオニア電設さんにお願いしました。

パイオニア電設さんには、システムありきではなく、当社の方向性や配送業務の基幹システムにフィットしたシステムをいろいろと探して頂きました。

そして、最終的にパッケージであるBIG顧客管理Neo CTIをご提案いただいたのです。」 と営業企画部 業務課長 比嘉様は語ります。

 

SIerであるパイオニア電設様の取り扱い商品、NECインフロンティア製の電話交換機、Aspireに連携するBIG顧客管理Neo CTIをご導入頂きました。

パッケージソフトの機能と業務内容のギャップをカスタマイズでカバー

システムの選定ポイントとして、パイオニア電設 SI本部 部長 新里様は以下のように語ります。

「弊社は電話交換機を取り扱っていますので、CTI連携部分に関しては実は自社開発が可能なんです。ところが、お話を頂いた時点であまりにも期間がなかった。データベースの作り込みから開発するには無駄な時間がかかってしまうので、その部分はうまく既製品を取り入れようと考えました。
交換機メーカーであるNECインフロンティアの導入実績もあり、営業担当の評判もよく、イリイさんにお任せすれば大丈夫、と言われてBIG顧客管理Neoを選択したわけです。

ただ、導入前に伺った業務フローとコールセンターの実際の業務の間にかなりのギャップがありまして・・・そのギャップを埋めるために、足りない機能をカスタマイズでカバーすることになったのです。

データベースを作るのは意外と簡単だったのですが、足りない部分がオペレーションに欠かせない部分だったので、イリイさんにもできる限り対応していただきました。それでも足りない部分は当社でカスタマイズしました。」

BIG顧客管理Neo CTI導入が決定したあとに発覚したギャップ。
特に問題となった点を新里部長にうかがってみました。

「一番の問題は、データベースの持ち方でした。これまで使っていたシステムと違い、BIG顧客管理Neoはカード型で、一顧客に対し一台帳、という考えのものでした。

OAS航空様のコールセンターに電話をいただくのは主に企業や個人でもリピートのお客様がほとんどで、応対履歴がどんどん増えていくんです。

カード型データベースでは履歴保持数に限界があるため、住所やお客様名などの固定項目と履歴情報をリンクするタイプのリレーショナルデータベースのほうが合っているんですね。今思うとBIGコールセンターのほうがイメージが近かったのかもしれません。」

しかし、カットオーバーまでの期間を考え、BIG顧客管理Neoの利用を前提とし、不足部分を補いながらの稼働となりました。

主なカスタマイズは以下の2点です。

・分析帳票(営業所別担当者別配送コースなど)を数点追加
・日通の集荷システムとのリアルタイム連携(CSV出力)

分析帳票に関してはBIG顧客管理Neoに蓄積されたデータをあらゆる角度から分析できる帳票がいくつも用意され、別メニューから簡単に出力できる、優れたシステムとなっています。

活気のあるコールセンター

コールセンターでは、4台の端末で沖縄県内すべての集荷やお問い合わせを集中受付されています。

電話応対業務を一元化することで各営業所での電話受付業務を軽減するだけでなく、オペレータが集中管理されたデータを即座に把握し、ドライバーとリアルタイムにやりとりすることで、正確でスピーディーな対応を実現されました。

お客様からのお問い合わせや集荷依頼、社内他部門からの集荷状況の照会、ドライバーからの荷物確認など、電話は途切れることなく鳴り続けています。お客様からは、1日300~400件ほどの受電があるそうです。

 

取材当日は3名のオペレータの方が次から次へと着信する電話に、テキパキと対応されていました。

様子をうかがっていると、1通話あたりの応対時間が20~30秒ほど。
実に的確な応対をされていると、とても感心させられました。

コールセンターでの主たる業務である、集荷受付のフローは以下の通りです。

お客様から受電するとすでに該当の台帳が呼び出された状態となっており、オペレータは履歴部分に以前対応した情報を再利用して集荷依頼情報を入力。たとえば、いつもとは違うフロアへの集荷依頼であれば、コメント欄に内容を残します。

そして、通話が終わる前にはワンクリックで集荷システムへのデータ送信が完了。集荷情報は即時に各ドライバーの無線端末へ自動送信され、配達車に搭載されたプリンタから集荷指示書がプリントされるという流れです。

BIG顧客管理Neoではカーソルの移動順や文字フォントの大きさなど、前システムのイメージを継承。なるべく違和感のない画面設計を心掛けていただいたおかげで、新システムへの移行時のオペレータのみなさんの抵抗感はあまり大きくなかったようです。

BIG顧客管理Neo CTI 導入効果

導入前の検証で発覚したさまざまなギャップを埋めてスタートしたOAS航空様のコールセンター。
前システムより優れている点を挙げていただきました。

一点目は、電話帳リストです。
前システムでは、一顧客に対して電話番号を1つしか保持できず、同じ会社でも番号が違えばそれだけの数お客様台帳を管理する、という形式でした。

BIG顧客管理Neoでは一台帳に対し99番号まで登録できるため、部署の多い企業や官庁関係など、一台帳で管理できるようになったとご評価いただきました。

特に、保険会社など外回りの多い業種では、事務所の電話番号のほかに個人のPHSや携帯電話の番号を登録しておくことにより、外回り中の営業担当からの集荷依頼も会社に請求ができる、といったメリットもあるようです。

また、総合的な評価として以下の点を挙げられています。

「コールセンターではお客様からの電話に集中できるよう、ドライバーとのやりとりは極力少なくしよう、というのがシステム導入の目的の一つでもありました。

配送に欠かせない集荷システムという基幹システムと連携することで業務の簡素化が図れたと思います」(比嘉様)

今後の展望

宅配サービスを利用する際に何気なくかけていた電話の裏には、お客様をお待たせしないという思いのたくさん詰まったシステムと、そのシステムを支える多くの人たちがいます。

「導入までの間、BIG顧客管理Neoのマニュアルを熟読し、OAS航空様の業務に合わせるためにどうすればいいかを考える日々は本当に大変でした。」と、新里様は当時を思い返して笑います。

「システムに対しての要望はまだありますが、バージョンアップ等で比較的柔軟にご対応頂いていると思います。」(新里様)

実際に、今回の導入期間にパイオニア電設様より指摘いただいた機能について、汎用的に使える部分は標準機能としてBIG顧客管理Neoに搭載されました。

わずか1か月半程度でパッケージシステムを全体的に理解し、お客様の業務フローを組み立てて頂いたSIerであるパイオニア電設様の力の大きかった今回の事例。

今後も、OAS航空様の良きパートナーとしてコールセンター業務をさらにブラッシュアップしていかれることでしょう。
当社としては、そのお手伝いをするのがシステムメーカーとしての責任だと考えています。