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社内に点在した情報をコールセンターシステムに集約し、電話応対を効率化

合鴨もも肉のコンフィ、スモークサーモン、牛ほほ肉のやわらか煮。 ユニコ・ジャパン・インターナショナル様のwebサイトには、おいしそうな料理の写真がたくさん並んでいます。

でも、レストランのサイトではありません。おいしそうな料理の写真は、実はまだ下ごしらえの状態のもの。

ユニコ・ジャパン・インターナショナル様の事業部のひとつ、シェフ・マルシェ(シェフマル)では、個人ではなく飲食店を対象に、仕込み作業などの手間を代行した下調理済みの洋風食材を会員制の通販でご提供されています。

“調理済み食材の通信販売”という事業に競合は少なくありませんが、一般的に和風食材が多く、洋風食材に特化しているという点において、シェフマルは一目置かれた存在のようです。

お客様は、3~5店舗ほどの小規模チェーン展開をされている店舗様~個人経営の店舗様で、 ジャンルは主にイタリアン、フレンチ、ダイニングバーなどだそうです。

最近では、ご自宅にシェフを呼び、きれいな食器でおいしいお料理を楽しむといった”出張シェフサービス”というものもあり、店舗を持たず、一般の家庭に出向いて調理をするパーソナルシェフと呼ばれる方からのご利用もあるそうです。

「シェフマルでは、手に入りやすい身近なものから希少価値の高いもの、新しい食材、温度帯も、常温から冷凍まで商品を幅広く取り揃えています。

食材に関しても、その時々のトレンドや地域性もあります。
当社の商品開発チームが、協力メーカーと一緒に商品を企画し、味を見て形を決め、オリジナルの商品として食材をご提供しています。

全国のお客様よりご注文を頂いていますが、本州エリアであれば、翌日には商品が届くというのが通販の最大のメリットであり、シェフマルの売りでもあります。」
そう語る、シェフマル事業部 カスタマーサービス マネージャーの伊藤様。

仕込み時間や経費の削減はもちろん、食材にソースや盛り付けなどといったそのお店のオリジナリティを加えるだけでアルバイトやシェフ見習の方でも簡単にプロの味を提供できるため、シェフマルは飲食店の強い味方となっています。

シェフマル事業部のスタート

株式会社 ユニコ・ジャパン・インターナショナル様では、輸入品のコーヒーなどをメインにデパートやスーパーに卸すビジネスを展開されてきました。

シェフマル事業部は、新たな事業として2006年度に通販をスタート。

カスタマーサービス マネージャーの伊藤様も、事業スタート時からずっとシェフマルの運営に携わってこられたそうです。

外食産業の景気に左右されつつも、シェフマルは着実にプロのシェフたちの心をつかみ、現在では1万強の会員登録数となりました。

「ずっと順風満帆という訳ではなく、震災の影響で、外食控え、節電などが重なり、営業時間の短縮を余儀なくされるという時期もありました。

また、当社の商品は冷凍食品が中心ですので、計画停電に冷や冷やしながら何とか乗り切ったという感じです。」と伊藤様はこれまでの道のりを振り返ります。

お客様の立場になれる シェフマル コールセンター

従業員は30名程度。少数精鋭で切り盛りする同社ですが、シェフマル事業部では、レストランからの注文やさまざまなお問い合わせを受け付けるコールセンターを社員と契約社員のみで運営されています。

「ただ電話を受けて商品お届けするだけのコールセンターではなく、お客様の身近な立場に立って対応するために社員・契約社員でやっています。」と伊藤様。

導入のきっかけ

2006年にシェフマル事業をスタートした中でいろいろな課題が発生し、随時、目先の課題から解決されてきました。

「コールセンターの運用開始当初は、受注はFAXでのみ受け付けていたんです。
その後、ネットや電話でのご注文も受け付けることになったのですが、電話でお客様と接する機会が増えるにつれ、販売管理システムから購入履歴を検索しつつ、お客様の情報も検索する・・・といったステップを踏まなければいけないということや、別のオペレータがやりとりした応対履歴が確認できないというのがネックとなってきました。

そして何より、電話応対中にすぐに検索ができないとお客様をお待たせしまう、ということがオペレータにとってストレスになっていたんです。」と伊藤様。

コールセンターでは、購入履歴は基幹の販売管理システム、顧客情報は顧客管理システムと、いくつかのシステムを平行運用されてきたという同社。当然、複数のシステムを起動するとPCの動作も重くなり、お客様からのお問い合わせにも、いくつかのステップを踏まないと答えが得られないという事態に陥ります。

コールセンター設立時は、お客様からの注文をいかに正確に受付けてお届けするか、ということに重点を置いてやってこられたという同社。そして、少しずつお客様が増えるにつれてニーズも変化し、よりお客様に密着したカスタマサービスが求められている、と感じたそうです。

新規事業が軌道に乗ったところで、お客様とより深いコミュニケーションをとるために、繁雑な業務を無くしていきたいというのがきっかけでシステムの再構築を検討されました。

そして、イリイがシステム構築をお手伝いさせて頂きました。

システムの選定ポイント

顧客管理システム導入について、ポイントとなった点について聞いてみました。

「基幹システムの構築をお願いしているSI会社に、相談してみたんです。
そして、イリイさんのシステムをご紹介頂きました。
当社もはじめてコールセンターのシステムを導入するということで、ある程度パッケージとして出来上がっているものが理想でした。ゼロから設計すると時間もコストもかかりますし・・・。」と伊藤様。

はじめは、パッケージソフトであるBIG顧客管理Proをご導入頂き、お客様の基本情報と基幹システムからCSVデータで取り込んだ購入履歴を管理されていました。しかし、それらに加えて応対履歴も詳細に管理していきたい、というご要望からBIGコールセンターに入れ替えられました。

アイディアの詰まった シェフマル コールセンター

BIGコールセンターは、お客様(ユニコ・ジャパン・インターナショナル様の場合はシェフマルの会員様)の基本情報を管理するマスタDBと、その顧客基本情報に紐づく履歴DBのリレーショナル構造となっています。

ご注文、お問合わせごとに履歴DBに新しい台帳が1つ作成され、マスタDBに紐づけて履歴一覧としてマスタDBで管理。履歴をダブルクリックすることで履歴の詳細を参照できます。

ユニコ・ジャパン・インターナショナル様では、応対履歴とは別に基幹システムからCSVファイルで購入履歴も取り込み、お問い合わせ時にお客様とのこれまでのやりとりと、いつ、何をご購入いただいたかという情報を同時に見られるよう工夫されています。

更に同社では、業務効率化にも徹底的に取り組まれています。

対応履歴は、調理に関するお問い合わせをはじめ、配送状況やネガティブ情報(クレーム)など、あらゆる情報を一元管理されています。

「クレーム内容は配送関連や品質に関するご指摘、入力ミスなど多々ありますが、特に品質に関する問題だった場合、同じ商品をご注文頂いている他のお客様にも迷惑をおかけすることになります。

従って、いち早く状況を把握し、関係各所にスピーディに報告して原因と改善策を探らなければならず、クレーム発生から収束までをいかに短時間で処理出来るかが重要となります。

注文情報には、売上日や商品名の他にも、賞味期限、送り状番号などの付帯情報がたくさんあります。
それらを応対履歴にひとつずつ手入力するのは大変な手間となりますので、マスタDBに取り込まれた購入履歴から1アクションで必要な情報が対応履歴DBに自動で差し込まれるカスタマイズをしています。

これらは全てマウスを使わず、キーボードのみで完結できるようになっていて、かなりの効率化につながったと思います。

クレーム処理については、以前はアクセスを使って管理していたんです。しかし、先ほども申しましたように、いくつものシステムを使うとどうしても時間のロスが発生してしまいますので、今まで使って来た機能をすべてBIGコールセンターに集約しよう、というのがコンセプトとなりました。」と伊藤様。

クレーム内容については、BIGコールセンターの標準機能、帳票設計機能にて独自のフォーマットの報告書を作成し、PDFに変換して関係各所にすぐにメールで報告できるしくみを構築。スピーディな問題解決につなげています。

他にも、いろいろなアイディアが各所に散りばめられています。
例えば、項目色の工夫。
BIGコールセンターでは項目ごとに文字色、背景色を指定でき、導入企業様によって思い思いの配色ができるようになっています。

ユニコ・ジャパン・インターナショナル様では、顧客台帳を開いた時、すぐにはオペレータの目に触れない方がいい情報(原価など顧客対応に関連性の低い項目)については、背景色と文字色を同じにして、パッと見でわからないように工夫されています。
これにより、オペレータは一目で必要な情報をすぐに見つけ出すことが可能となります。

システム導入効果については、さまざまな情報を一つの画面に集約することで、誰でも簡単に欲しい情報にたどり着くことができるようになり、お客様をお待たせしてしまうといったストレスがなく、余裕をもって電話応対が出来るようになったとのことです。

実に多くのアイディアが散りばめられたコールセンターシステム。
これまでさまざまなコールセンターを見せて頂いてきましたが、どのセンターでも独自のアイディアがふんだんに詰まっています。

システムの開発に携わる私たちでは思いつかないようなアイディアはどこから生まれるのか。

ユニコ・ジャパン・インターナショナル様の場合、シェフマル事業のスタート時よりコールセンター運営をトータルで管理されてきた伊藤様が、実際にお客様と接し、オペレータの声に耳を傾けてきた過程でいろいろなアイディアがシステムに反映され、使いやすいシステムに育った結果なのでした。

今後の展望

アシスタントゼネラルマネージャー 村田様

システム導入から2年、第一ステップの課題はすべてクリアしたという今、今後の展望について聞いてみました。

「現在、交換機との連携の問題でCTI機能は未実装です。次のステップとしては、やはりCTI機能を使いたいというのが一番ですね。手動での検索やダイヤルは人的ミスにもつながるので、システムでカバーできる部分は積極的に実践したいと思います。

また、これまで受注まわりに関しては販売管理の基幹システムに手を加えてきましたが、基幹システムでの顧客情報まわりの改良についてはある程度あきらめていたんです。

今後、お客様との接点を有意義に保つために、コールセンターシステムであるBIGコールセンターをメインシステムととらえ、さらに充実させていきたいと考えています。」
と、アシスタントゼネラルマネージャーの村田様は語ります。

コールセンターでは、オペレーターのみなさんのモチベーションを保つのが、良いサービスをご提供する上でとても重要なポイントとなります。

シェフマルのコールセンターでは、どんなことがモチベーションアップの秘訣なのか聞いてみました。

「シェフマルの会員様は、基本的に職人気質の料理人。そんな職人さんたちが納得いかない事態になると、時にお叱りを受けることもあります。そこでモチベーションが一時的に下がったとしても、次に対応した際に”この前はありがとう“という言葉を頂くと本当にうれしいものです。

オペレータのモチベーションを保つ秘訣は、このお客様からの”ありがとう“の一言に尽きると思います。」

これまでも、お客様との会話を大切にしたい、というコンセプトのもとにシステムを改良し続けてきたユニコ・ジャパン・インターナショナル様。

今後も、繁雑な業務を効率化し、余裕を持ってお客様とじっくり会話ができるよう、よりよいシステムづくりのサポートができればと願っています。