檀家管理システム「一如」にCTI機能を追加し、檀家とのコミュニケーション向上を実現
神奈川県の、とあるお寺。
住宅街のオアシス的存在のお寺の境内には、まだ少し紅葉の残る、自然いっぱいの風景が広がります。
株式会社 スターズコンピュータ製の檀家管理システム「一如」に、弊社のCTIシステム「CTIコネクテル」を追加でご導入。
歴史あるお寺の古くからの檀家さんを大切にしつつ、先進的な取り組みにも意欲的な住職にお話を伺いました。
CTIコネクテル導入のきっかけ
先代の頃は紙ベースで管理していた檀家さんの情報を、スターズコンピュータ製の檀家管理システム「一如」で管理されています。
「一如」は、檀家さんの過去帳・現在帳や住所といった名簿管理、短冊の作成、負担金管理などを一元管理できる優れたソフトです。
「一如」の導入から3~4年。大量の紙ベースの台帳からのデータ化が整い、次のステップとして住職が考えたのが、CTIシステムだったそうです。
少子高齢化で確固たる顧客だった“檀家”というくくりがなくなり、インターネットで頼めば、お坊さんが派遣されてくる現代。コンビニのように気軽に、法要や読経などのサービスが頼めてしまう一方、やはりあそこのお寺、あの住職でないと、と思ってもらう存在でありたいという思いが強くなりました。
「仏教はサービスではなく、やはり“人”なのです。」と語る住職は、人と人をつなぐ“電話”に着目。
檀家管理システムに電話を組み合わせたCTIシステムをテレビで観たコールセンターの様子を見て思いつき、檀家管理システムのメーカーであるスターズコンピュータ社にずっと要望を出していたそうです。
「檀家さんがそんなに多くなければ、家族構成などの情報を記憶しておくこともできるでしょうが、このあたりの地域では、人口も多く、檀家さんもかなりの数がいらっしゃいます。
こちらにとってはたくさんいる檀家さんの一人ですが、檀家さんからしてみれば、うちは唯一の菩提寺なのです。
病院に置き換えるのであれば、自分の病状をわかってくれる主治医のような存在ですね。どんな業種でもそうだと思いますが、やはり何かを頼もうと思ったときは信頼関係が一番大切だと思うのです。
そんな大切な檀家さんからの電話に、親身にこたえる“手助け”をするためのツールとして採用しました。」
と、CTIシステム導入のきっかけについて語ります。
CTIシステムの導入効果
そして、檀家管理システム「一如」に、簡単にCTI機能を追加できる「CTIコネクテル」をご導入頂き、数ヵ月が経過しました。
「CTIコネクテル」は、電話着信時に「一如」で管理するデータベースを直接参照し、電話番号をキーに檀家さんの情報を検索してPCに表示。
受話器を取って通話が開始するタイミング、連携ボタンを押したタイミング等、任意のタイミングで「一如」の檀家情報をPCに自動で表示するシステムです。
CTIシステム導入前は、たとえば同じ苗字の檀家さんからの電話の際、命日を伺った上で検索する、というステップを踏んでいました。
“調べる”、“折り返す”いう 時間のロスはもとより、電話の向こうで、檀家さんに不安を感じさせてはいけないと考えられていたそうです。
CTIシステムの導入効果はいかがですか?との問いに、
「以前より、格段にいいですね。“○○さん、おじいちゃんは元気?”といった会話がスムーズに出来ますから、電話とはいえ距離感が縮まる気がします。檀家さんのすべての情報を記憶していなくても、すでに目の前に命日やいつが何回忌といった情報が出ているわけですから。もう手放せないですね。」と住職は語ります。
電話応対をされている他のスタッフの方も、住職にしかわからないような、故人の人柄や家族構成等も電話応対時に即座に把握できるため、非常に便利との声を頂きました。
電話中に出られなかった着信は、CTIコネクテルの通話ログから折り返し電話が出来る点などについてもご評価を頂いています。
最近では、これまで住職にしか即答できなかった内容をマニュアル化し、誰が出てもすぐにこたえられるよう、準備している最中だそうです。
歴史を守りつつ未来をつくる
「たとえば、お気に入りのホテルに電話したときに、“いつもありがとうございます。○○様”といった対応をされた時。
前回言ったことを覚えてくれていたり、なんとも言えないツーカーな感じや特別感。ちょっとうれしいですよね。
わたしたちは、唯一の菩提寺、かかりつけのお寺という立場で、そのようにみなさんと接したいと思っています。」
また、首都圏に住む多くの方は菩提寺がなく、その数は約7割になるそうです。
檀家という固定客ではなく、特にお墓を持っていない、何宗でもない。
そのような方々が、お寺や仏教に興味を持ってくれることも重要、と住職はお考えのようです。
「今では、お寺と言ったらお通夜や法事など特別な時にしか立ち入らないとか、ちょっと堅い存在ですよね。
しかし、そもそもお寺は昔、寺子屋(学校)だったり文化芸能の発信地だったり、社会福祉の場所だったり。街の行政をつかさどるような中心的存在で、たくさんの人が集まる場所でした。
お寺をもっと身近に感じて頂けるよう、本来の姿に戻していきたいのです。」と、これまでの檀家さんとのおつきあいも大切にしつつ、新しいご縁をつないでいくために、季節ごとにイベントを開催し、檀家である、ないに関わらず、地域の方をお寺に招かれているそうです。
あのお坊さんにお経をあげてもらいたい、あのお坊さんに聞けば何とかなる。といった存在でありたいと考える住職には、檀家さん以外の方からの電話にもCTIシステムは欠かせないものになりつつあるようです。
CTIシステムは、お寺業務の効率化はもとより、お金では買えない“人との絆づくり”のための投資と語る住職。
「これまでのように、古くからの習慣に固執するだけでは、お寺業界もいつか行き詰ってしまうと思うのです。檀家さんが何を望んでいるのか、菩提寺としてそれに答える努力をする。私たちお寺も試行錯誤しながらお寺として仏教をいかにわかりやすく広げていくかということです。
今のところ、CTIシステムを入れているお寺はあまり多くないかもしれないし、私たちが特別なのかもしれませんが、これから若い世代が世襲して代替わりすれば、お寺の管理体制としてシステム構築がいつか当たり前という時代が来ると思っています。
先代が作り上げてきた歴史を今後に繋ぐために、残すべきもの、伝えていくべきものを精査しつつ、変えるべきところは変えて、これからの未来をつくっていくことが世襲した私たちの使命だと思っています。」
約7割の菩提寺を持たない方々や若い世代が、このような信念をお持ちの住職に出会える“場”づくりと、難しく捉われがちな仏教をもっと身近に感じられる、開かれたお寺の情報発信に今後も期待しています。