印刷

伝統銘菓の”通販”を支えるシステムをSimplexに刷新

江戸末期、安政3年(1856年)創業の満月様は、歴史を感じさせる看板を掲げた、上品な外観が印象的な老舗の京菓子店です。満月様の看板商品である「阿闍梨餅(あじゃりもち)」は、もちもちとした皮と粒餡があっさりとして後をひく絶品で、京都の人々のお茶菓子として、また、観光客の京都土産としても有名です。

その他、丹波の大納言小豆を使用した「京納言」、明治の御代、藤の門旧九條家御用達の「満月」、“京都のお菓子”というイメージの強い最中の4種類のお菓子を、自社に併設された工場で、ひとつひとつ丹精を込めて作られています。

阿闍梨餅

京納言

満月

お土産として持ち帰った箱の中には、フリーダイヤルの番号が記載されたカタログが入っており、電話注文を受け、地方への配送もしています。そのほか、FAXによる注文もありますが、フリーダイヤルへの電話注文がほとんど。

通販業務を効率化すべく、2005年に通販業向け販売管理ソフト「BIG通販Pro」を導入されました。今回、後継ソフトであるSimplexへの入れ替えを機に、再度お話を伺うことができました。

Simplexにはいつ入れ替えをされたのですか?

-2019年8月中旬です。

現在は並行稼働中の状態ですか?

-そうですね。BIG通販ProとSimplexの二重管理がきつくなってきたのでそろそろ本稼働したいと思っています。

それではまだまだSimplexの全貌は掴めていないと思われますが、印象はいかがですか?

-まだまだ使いこなせていない状態ですが、今のところこれはいいなと思ったのは、お客様の登録数が増えたことです。

BIG通販Proはご注文者様(お客様)に紐付けて贈答のお届け先を管理する仕様で、贈答で送られた方がリピート注文していただいた場合判断もつかず、履歴も残せなかったんです。

Simplexでは、お届け先であっても顧客マスタに登録されるので、ここ1ヶ月で顧客数がだいぶ増えました。

そうなんですね。何件くらい増えましたか?

-だいたい200件くらいです。おそらく、これまではお届け先からのリピート注文ということに気づかず、二重登録していたのでしょうね。

なるほど。1ヶ月で200件も納品先から顧客マスタに移行されたということはさらに増えることが予想されますね。
贈答先がお客様になったことでリピート履歴も把握できるようになりますし、今後は顧客サービスに活かせそうですね。

以前は電話注文がほとんどとのことでしたが、今も電話がメインですか?

-そうです。
BIG通販ProもCTI機能をつけていましたが、電話機を最新のものにして、SimplexでもCTIオプションを使用しています。

SimplexのCTIオプションでは、電話番号からお客様情報を検索して、電話に出るとすぐに注文履歴等を確認できる顧客モニタという機能がありますが、印象はいかがですか?

―オペレータが画面を見ながら注文を受けるスタイルなら顧客モニタももっと活用できるかと思うのですが、パソコンのない場所で作業をしながら電話を受けているので・・・。

履歴を確認するためにパソコンまで移動していますが、その時点で顧客モニタをすぐ確認できるので便利ですね。

 

以前は電話注文を受けて、まず手書きで注文内容を残していらっしゃいましたが、現在も同じ運用ですか?

-同じです。住所などの聞き間違いがあったとしても、CTIの履歴を見れば正しい情報を見られるので心強いです。


通販による販売数は以前と比べて増えましたか?

-電話注文はお得意先が多いので、年間を通して注文数に大きな変化はありません。テレビで放送された直後は一気に注文が増えますけどね。メディアの影響はやはり大きいです。

そうですね。最近はテレビにSNSの相乗効果が加わりましたからね。業務では、この15年で変化したことはありますか?

主任 北口氏

-基本的にあまり変わっていません。ネット通販もまだですし。

今後はインターネットによる販売も視野に入れてはいますが、相変わらず、ご注文分をすべて職人の手作りで製造しています。

卸売り先にも数の制限をさせていただいている状態で、これ以上間口を広げてしまうと既存のお得意先様にご迷惑をおかけしてしまうことになってしまうので。

では最後に、Simplexで今後やってみたいことはどんなことですか?

-Simplexでは、BIG通販Proで出来なかった細かい顧客の分類ができるようになったので、これからどんなことができるか試してみたいと思っています。(北口氏)

15年前に取材をさせていただいた時も、ネット通販や大々的なプロモーションを行わないのは、商品が不足してお客様にご迷惑をかけるから、と仰っていたのを思い出しました。

ちょうど電話で注文が入り横で聞いていると、恐らく仏事や地域のイベントといった用途で、大量のご注文を受けられている様子。担当スタッフの方が、お客様のご要望にとても丁寧に対応されていたのが印象的でした。

今後も時代に流されることなく、伝統の味を守り続けていただきたいと願うばかりです。